増刊号 画像診断パーフェクトガイド―読影のポイントとピットフォール
部位別診断法
Ⅱ.鼻・副鼻腔
鼻性眼窩内合併症・鼻性頭蓋内合併症
吉田 拓人
1
,
春名 眞一
1
1獨協医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科
pp.132-137
発行日 2014年4月30日
Published Date 2014/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102822
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画像診断の狙い
■鼻性眼窩内合併症
副鼻腔と眼窩は解剖学的に隣接しており,両者の隔壁は粘膜と骨膜,ところにより菲薄な骨のみとなっている。そのため,副鼻腔に生じた炎症が眼窩へと容易に及ぶことがある。これが鼻性眼窩内合併症の病態であり,その重症度はいくつかに分類される。代表的なものはChandlerら1)により提唱される以下の5型の分類である。
Ⅰ.眼窩隔膜より前方に発生する炎症性浮腫・眼瞼蜂巣炎・隔壁前蜂巣炎
Ⅱ.眼窩内組織に炎症が波及するものの膿瘍を形成しない眼窩蜂窩織炎(図1)
Ⅲ.眼窩骨膜下膿瘍(図2)
Ⅳ.眼窩内膿瘍(図3)
Ⅴ.海綿静脈洞血栓症(図4)
である。
患者の病態がどの重症度にあたるのか画像診断を行うことにより,判断が可能となり,保存的治療でいくのか外科的治療を要するのかを決定できる。また病変の存在部位を同定することにより,適切な排膿ドレナージのためには内視鏡下手術のみで対応できるのか,外切開を併用する必要があるのか,アプローチ法を決定することができる。
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