書評
中耳手術アトラス―Middle Ear and Mastoid Microsurgery
池園 哲郎
1
1埼玉医科大学・耳鼻咽喉科学
pp.974
発行日 2013年11月20日
Published Date 2013/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102664
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耳科手術を実践するすべての術者にとっての座右の書
訳者の須納瀬 弘氏は耳科学の世界的な権威であるイタリアのMario Sanna教授が率いる耳科学専門の病院Guruppo Otologico(以下,Guruppo)に留学した。氏の留学中に本書の原書初版『Middle Ear and Mastoid Microsurgery』が出版され,氏は共著者となっているが,実はその大部分を須納瀬氏本人が執筆したそうだ。Guruppoには常に何人もの医師が世界各国から留学しているが,その中で須納瀬氏がSanna教授より本書の執筆を託されたのである。原書初版の執筆は2000年1月に開始され,3年後に完成をみた。その後原書は執筆体制をほぼ踏襲する形で2012年に改訂され,その改訂第2版を和訳したのが本書である。
Sanna教授の考えと手術法を優れた写真と詳細な解説とともに呈示する本書は,初学者からベテラン医師までどの段階の医師にとってもおおいに勉強になる優れた大著として完成している。当時留学していた同僚たちは一様に須納瀬氏の集中力と執筆にかける情熱,その仕事量に驚かされ,「Sunoseはいつ寝ているのか?」と口々に驚嘆の言葉を語っていたそうだ。
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