特集 急患・急変対応マニュアル―そのとき必要な処置と処方
Ⅵ 術中・術後の急変への対応法
■術中編
アブミ骨手術時のgusher
植田 広海
1
,
内田 育恵
1
,
岸本 真由子
1
1愛知医科大学耳鼻咽喉科
pp.286-288
発行日 2013年4月30日
Published Date 2013/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102494
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Point
◆アブミ骨手術時のアブミ骨底板開窓の際に前庭窓から外リンパ液が中耳内に流出してくることがあり,gusherと呼ばれている。
◆gusherには,外リンパ液が中耳内に噴出し中耳内にすぐ充満するような状態となる狭義の“gusher”と比較的除々に流出してくる“oozer”とに分類される。
◆術前に予想できない症例もあるが,術前にgusherを発症しやすい症例を把握しておくことが重要である。発症しやすい予測因子として,男性で小児期からの混合性難聴を自覚,CT所見で,内耳道底部の拡大,前庭の拡大,蝸牛水管あるいは前庭水管の拡大,蝸牛の奇形の有無に留意することが重要である。
◆Gusherを確認したら慌てず,まず流出量をチェックして,oozerであれば開窓部を筋膜でカバーしフィブリン糊を滴下する。筋膜でのカバー前後で人工アブミ骨を装着し,外リンパ液流出停止を確認する。噴出するようなgusherの場合,上記で流出を止めることが困難な例は,底板を全摘して筋膜片を前庭内に挿入して内側からの水圧を利用して流出を止める。あるいは前庭窓内を結合織で完全に充塡する。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.