特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術マニュアル—私の方法
耳手術
6.アブミ骨手術
坂井 真
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.41-46
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901457
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はじめに
現代のアブミ骨手術は,1958年にSheaが耳硬化症の手術法として,はじめて顕微鏡下にアブミ骨底板を脚とともに除去し,開窓した前庭窓を結合織でおおい,ポリエチレン管でキヌタ骨と結合織とを連結する術式(stapedectomy)を発表したことに始まる。それ以来Sheaの原法には,多くの変法が加えられ,またアブミ骨代用物の開発も盛んになったが,現在でもアブミ骨手術の原理はSheaの手術と同じである。また,Sheaは1962年にアブミ骨底を除去せずに,底板に小孔を開けてテフロンピストンを挿入し,キヌタ骨との問に連鎖を再建するstapedotomyを発表した。
代用アブミ骨として,かってゼルフォーム・ワイヤーが使用されたが,最近では外リンパ瘻の合併症が多いので使用されなくなった。現在ではステンレススチールピストン,テフロンピストン,テフロンワイヤーピストンなどピストン型のものが市販されている。
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