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特集 HPV・EBVと頭頸部腫瘍
HPVと頭頸部癌
HPV and head and neck cancer
徳丸 裕
1
Yutaka Tokumaru
1
1国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科
pp.619-625
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102251
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Ⅰ HPVとは
ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)は,約8000塩基対の環状DNAからなる小型DNAウイルス(図1)1)で,パピローマウイルス科として分類されている。HPVの型はゲノム配列の相同性から決定されており,現在約120種類のHPVが登録されているが,いずれのタイプも主要カプシド蛋白L1と微量カプシド蛋白L2からなるカプシド殻をもっている。皮膚や粘膜に感染するが,宿主特異性が高く,宿主を超えて感染することは稀である。ヒト乳頭腫ウイルスというように宿主名を冠して分類される。
1983年にzur Hauzenらが子宮頸癌組織からHPV16をクローニングし,子宮頸癌の因果関係を示唆したことから,HPVと癌の関連について研究が始まった。HPVは発癌との関わりによりハイリスク型とローリスク型のHPVに分類される。ハイリスク型HPVに分類されるのはタイプ16,18,31,33,35,39,45など16種類で,ローリスク型HPVにはタイプ6や11が含まれる。ハイリスク型HPVは子宮頸癌をはじめ,頭頸部癌,肛門癌,性器癌などの発癌に関与しているが,ローリスク型HPVは性器や上気道の疣贅,乳頭腫を生じるものの,発癌に関与することは稀である。またHPV自体は日常生活において感染しやすく,多くの男女が一度は感染するありふれたウイルスである。
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