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特集 HPV・EBVと頭頸部腫瘍
HPVと鼻腔乳頭腫
HPV and sino-nasal papilloma
土井 清司
1
Kiyoshi Doi
1
1神戸大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
pp.627-632
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102252
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Ⅰ はじめに
ヒトパピローマウイルス(human-papilloma virus:HPV)と疾病とのかかわりは,今から約30年前にドイツのzur Hausen博士が婦人科領域における子宮頸癌からHPV16とHPV18のDNAを発見したことから始まり1),現在ではHPV感染により子宮頸癌が発症することは確立した見解となっている。その功績により,彼は2008年にノーベル医学・生理学賞を受賞している。近年,頭頸部領域においてもHPVが腫瘍の発生要因となっている可能性が注目されるようになり,研究・解明が進んでいる。実際に頭頸部腫瘍とHPVとの関連性を検討した報告は数多く存在しており,特に中咽頭領域における扁桃癌に関しては,HPV16の感染と発癌との因果関係が解明され,HPV16陽性か否かが予後判定の重要な要素となるという認識がすでに確立されている2)。鼻副鼻腔領域においても同様の流れを受けて,良性乳頭腫および悪性腫瘍組織でのHPVのDNA検出が行われ,その結果をもとに腫瘍とHPVとの関連性や悪性転化への関与を検討した報告が見受けられるようになっている。本稿では,鼻腔乳頭腫とHPVとのかかわりを中心に,国内・海外の報告を参考にしながら解説を行う。
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