特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅶ.炎症・感染症診療NAVI
5.深頸部膿瘍
黒野 祐一
1
1鹿児島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.201-205
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102158
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Ⅰ 疾患についての概説
1.深頸部膿瘍とは
深頸部膿瘍は頸部間隙内に生じた膿瘍で,頸部リンパ節炎,蜂巣炎とともに深頸部感染症に含まれる。一般的には頸部リンパ節炎や表在の感染部位から頸部筋膜の間隙に感染が広がり蜂巣炎となり,組織の崩壊によって生じた空洞に膿が貯留して膿瘍が形成される1)。したがって,深頸部感染の初期に適切な抗菌薬を用いれば膿瘍化することなく治癒する。しかし,いったん膿瘍が形成されれば抗菌薬だけで治癒させるのは困難で,外科的治療が必要となる。蜂巣炎にとどまるか膿瘍へと進行するかは,解剖学的特徴や起炎菌の病原性,生体防御機構の強弱も関与する1)。
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