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特集 最新技術―補聴器と人工中耳・人工内耳
人工中耳の進歩:BAHA
Advances in middle ear implant:BAHA(Bone-Anchored Hearing Aid)
野口 佳裕
1
,
喜多村 健
1
Yoshihiro Noguchi
1
1東京医科歯科大学耳鼻咽喉科
pp.377-383
発行日 2011年5月20日
Published Date 2011/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101870
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Ⅰ.はじめに
Bone-anchored hearing aid(BAHA)は,チタン製のインプラントとサウンドプロセッサーにより構成される半埋め込み型骨導補聴器である1)。従来,骨導補聴器としては,眼鏡型やヘアバンド型のものが使用されてきた。これらの補聴器は,皮膚に直接骨導端子を設置させるため骨導端子の不安定性,圧迫に伴う疼痛などの欠点があり,審美性も必ずしも良好とはいえない。また,骨を振動させるために高い出力が必要となるため骨導聴力レベル45dB以内が限界とされてきた2)。一方,BAHAでは,骨に直接インプラントを埋め込むため,装用感や審美性に優れており,皮膚を介さずに直接骨に振動を伝えるため良好な音質が得られるという特徴がある。しかし,BAHAは,手術が必要となること,術後インプラント周囲の清掃などの管理上の煩雑性があること,サウンドプロセッサーとインプラントへの打撲に注意を要することなどの欠点がある。さらに,術後インプラント周囲に生じる皮膚の炎症反応やインプラント脱落などの合併症が生じる可能性もある。
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