特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅱ.病原体をマスターする
3.ウイルス感染症
8)単純ヘルペスウイルス
濵田 昌史
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科
pp.191-194
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101842
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Ⅰ 一般的特徴
ヘルペスウイルス科ウイルスのうち,水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)とともにαヘルペスウイルス亜科に分類され,シンプレックスウイルス属に属する2本鎖DNAウイルスであり,単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)と2型(HSV-2)が存在する。直径は150~200nmで,最外層には脂質と糖蛋白より成るエンベロープがあり,外側にはスパイクと呼ばれるトゲ状の突起をもつ。内側には電子密度の高い外殻(テグメント),さらにおよそ100nmの直径をもつ正20面体のカプシドが存在する1~3)(図1)。DNAの分子量はおよそ100×106ダルトンで,約150kbpの塩基があり,その全配列はすでに明らかにされている。
ウイルスの増殖は,前初期遺伝子群が発現してからウイルスDNAの合成に関与する早期遺伝子群,さらにウイルス蛋白の合成に関与する後期遺伝子群が順次発現することで行われるが,後期遺伝子の発現にはある一定量以上のウイルスの感染が必要であり,ウイルスDNAが合成されても必ずしも感染性のウイルス粒子は作られない。
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