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Ⅰ はじめに
クラミジアは細菌であるが自らATPを産生できないためにほかの細胞に寄生感染し増殖する,偏性細胞内寄生性グラム陰性菌である。ユニークなライフサイクルをとることが知られている。感染力はあるが増殖能のない基本小体(elementary body:EB),感染力はないが増殖能を有する網様体(reticular body:RB)およびRBからEBへの移行菌体(intermediate form:IF)の形態を繰り返しながら宿主細胞に感染・増殖する1)。ヒトに感染症を引き起こすクラミジアとして,クラミジアトラコマティス,肺炎クラミジア,オウム病クラミジアがあるが,前2者のクラミジアが咽頭感染を起こすことが知られており,耳鼻咽喉科領域の感染症として重要である。しかし感染経路,感染陽性者における臨床的背景に大きな違いがあることからそれぞれのクラミジア感染について分けて記載する。
1999年に16Sおよび23SリボゾームRNA遺伝子解析,染色体DNAの相同性に基づき新しい分類が提唱され,クラミジアは1目,4科,2属になった2)。クラミジア科を2属に分け,クラミジア(Chlamydia)属とクラミドフィラ(Chlamydophila)属とし,前者にはクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)が,後者には肺炎クラミジア〔Chlamydophila(Chlamydia)pneumoniae〕とオウム病クラミジア〔Chlamydophila(Chlamydia)psittaci〕が含まれることになった。しかしこられの名称の使い分けはいまだ一般化されておらず,従来どおりクラミジアと表現している論文が多い。
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