特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅱ.病原体をマスターする
1.細菌・原虫感染症
11)マイコプラズマ
蓑田 涼生
1
1熊本大学耳鼻咽喉科 頭頸部外科
pp.123-128
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101830
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Ⅰ はじめに
マイコプラズマは直径1~2μm程度の大きさの非常に小さな細菌である。ほかの細菌と異なり細胞壁をもたない。ヒトに対して病原性が確認されているのは,Mycoplasma hominis,Mycoplasma genitalium,Mycoplasma pneumoniaeなどがある。M. hominisは泌尿生殖器,周産期,新生児の感染症の起炎菌として報告されており1),M. genitaliumも泌尿生殖器感染症の起炎菌であることが示唆されている2)。最も臨床上重要なのはM. pneumoniae(以下,マイコプラズマと略)である。マイコプラズマは,主に呼吸器感染症を引き起こし,非定型肺炎の原因菌としても重要である。通常は不顕性あるいは軽症に経過することが多いが,マイコプラズマ感染者の3~5%は肺炎を引き起こす3)。罹患者は幼児期から若年成人に多く高齢者に少ない。
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