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特集 耳鼻咽喉科における心因性疾患とその対応
4.心因性味覚・嗅覚異常
4.Psychogenic olfactory or taste disturbance
岡 秀樹
1
,
阪上 雅史
1
Hideki Oka
1
1兵庫医科大学耳鼻咽喉科
pp.937-940
発行日 2010年12月20日
Published Date 2010/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101718
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Ⅰ.はじめに
嗅覚・味覚は共に生きていくうえで重要な外界情報を感知するセンサーとして機能している。しかしながら,その機能がさまざまな原因によって障害されることがあり,生命にはかかわらないものの日常生活の質を低下させ,多大な支障をきたす。その原因の一つに心因性,いわゆるこころの問題がある。平均寿命が延び,高齢化社会となり,それに伴う介護の問題やIT技術の進歩,子どもを取り巻く環境,家族の関係など現代社会は,日々大きく変化し,心の安定を保つことが非常に難しい。そのなかで重要になるのが問診で,まず患者との関係を成立させ,患者の病状,悩み,訴えを理解して,その原因を探り,そしてその結果に基づいて治療計画を立てることである1,2)。
心因性味覚・嗅覚障害患者に対しては,まず障害の原因を追及するための詳細な問診や機能評価を含む検査を施行したうえで,全く異常がないことが証明されることが必要である。心因性が原因として考えられる場合には心身医学的な評価を行い,必要に応じ精神科や心療内科などの専門医への紹介を勧めるべきである。こころの変化に伴う味覚・嗅覚障害について過去の報告をもとに述べる。
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