特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅴ.口腔・咽頭・唾液腺の検査
4.睡眠時無呼吸症候群の検査 1)成人
加根村 隆
1
,
宮崎 総一郎
1
1滋賀医科大学睡眠学講座
pp.193-200
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101611
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Ⅰ 睡眠時無呼吸症候群の概要
1976年にGuilleminaultら1)は,習慣性のいびき,日中の強い眠気,起床時の頭痛などの症状を有し,かつ終夜睡眠ポリグラフ検査にて一晩の睡眠中(約7時間)に10秒以上続く無呼吸が1時間当たり5回以上出現する場合を睡眠時無呼吸症候群(SAS)と定義した。当時の日本では稀な疾患と考えられており,睡眠時無呼吸症候群の検査や診療を行う施設は数少なかった。しかし,Youngら2,3)は,睡眠呼吸障害の有病率は成人男性の24%,女性の9%と報告し,中等度から重症の閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)中,男性の82%,女性の93%が診断されていないことを報告した。わが国では,岡田4)や大田ら5)の調査より,日本人における睡眠時無呼吸症候群の有病率は,1~2%,1.3~2.7%とそれぞれ報告されている。
睡眠時無呼吸症候群は,閉塞型,中枢型,チェーンストークス型,低換気型などに分類されているが6),大半は上気道が狭窄,または閉塞した閉塞型である。OSASは,高血圧のリスクを増加させ7),心血管疾患8)や予後9~11)を低下させることがわかってきた。ここでは,成人のOSASの病態や診断検査を中心に述べる。
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