創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
鼻—症候と疾患
鼻アレルギー
清水 章治
1
1国立相模原病院アレルギー研究部耳鼻咽喉科
pp.790-791
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208742
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最近,鼻アレルギー疾患は年々増加する傾向にあり,鼻科領域の主要疾患である慢性副鼻腔炎を発病率の上で凌駕する趨勢にある。しかも,その増加率は単に患者のアトピー素因だけでは説明がつかないほど高率である。原因の究明は大変困難であるが,生活様式が欧米化してきたことに加えて,現代人は大気の汚染物質によつて何らかの形で鼻粘膜の透過性が高められてきているのではないかと危惧される。
一方,鼻アレルギーは慢性に経過するため,患者や耳鼻科医にとつても大変厄介な疾患という印象が根強く,治療を最初から諦めてしまつている風潮にもしばしば遭遇している。事実,本疾患の決定的な治療法は現在のところ未だ見い出されていないし,たとえアレルゲンが決まつて,減感作療法を行なつても完治の判定は理論的にも難しく,治療途上の中断により再発をみた例も少なくない。
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