特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅰ.聴覚検査
9.聴性脳幹反応検査
芳川 洋
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院耳鼻咽喉科学
pp.65-70
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101592
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Ⅰ はじめに
聴性脳幹反応(auditory brainstem response:ABR)は1970年にJewettら1),およびSohmerら2)によって報告された聴性誘発反応である。頭皮上に設置された電極から,潜時10msec以内に記録される反応であり,内耳から脳幹までの聴覚路の刺激音による電位変化の総和として記録される。刺激音によるon反応と考えられ,立ち上がりの急峻な刺激音で,より明瞭に記録される。また,内耳から脳幹に至る聴覚路が発生源であるため,睡眠や薬物による影響を受けにくいことから,睡眠下の幼小児に対する聴覚の補助的評価に広く用いられている。また,反応の各ピークが発生部位に対応すると考えられており脳神経学的な補助診断法として,また,聴神経腫瘍などの術中モニターとしても応用される(図1)。
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