特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅰ.聴覚検査
10.聴性定常反応検査
伊藤 吏
1
,
青柳 優
1
1山形大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
pp.71-79
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101593
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Ⅰ はじめに
乳幼児の聴力評価には聴性行動反応聴力検査(BOA)や条件詮索反応聴力検査(COR)などの心理学的手法と聴性脳幹反応(ABR)や聴性定常反応(auditory steady-state response:ASSR)などの電気生理学的な他覚的聴力検査を組み合わせて施行し,これらの結果から総合的に判断することが原則である。しかし,最近では新生児聴覚スクリーニング検査が普及し,いわゆる1-3-6ルール,すなわち生後1か月までにスクリーニングを終え,生後3か月までに難聴の程度を評価し,生後6か月までには医学的・療育的介入を開始することが推奨されており,このようなCORの適応年齢に満たない難聴児において他覚的聴力検査の役割は大きなものとなっている。これまで乳幼児に対する他覚的聴力検査はクリック音刺激によるABRがゴールドスタンダードであったが,低中音域の聴力評価が困難であり周波数特異性も低いという問題から補聴器のフィッティングには適さなかった。これに対してASSRは周波数特異性の高い検査法であり1),乳幼児の聴力評価や補聴器フィッティングおける有用性が期待されている。本稿ではASSRの基礎知識と臨床応用上の具体的な検査法,結果の解釈,ピットホールなどについて述べる。
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