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化学放射線同時併用療法後の救済手術の現状と課題―有害事象への対応をいかに行うか
Salvaged operation after concurrent chemoradiotherapy for advance head and neck cancer: How to manage the adverse event
河本 勝之
1
,
北野 博也
1
Katsuyuki Kawamoto
1
1鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
pp.9-17
発行日 2010年1月20日
Published Date 2010/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101530
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Ⅰ はじめに
化学放射線同時併用療法(concurrent chemoradiotherapy:CCRT)の普及とともに,以前は根治手術を行っていたような症例でもCCRTを行う場合が増えている。その背景には,臓器温存を希望する患者側と,根治手術に伴う問題を回避したいという医療者側の態度があるように思われる。
しかし,CCRT後の残存や再発の対応に苦労する例は多い1~3)。さらにCCRT後の救済手術は合併症を起こしやすく,臓器温存ができても機能障害が残存しやすいこともわかってきた1~4)。
特に最近はMendenhallら5)が提唱したplanned neck dissection(PND)の概念が発端となり,CCRT後に手術を行う例も増えてきている。なお,PNDとは,CCRTによって頭頸部癌の原発巣の根治を目指し,頸部転移についてはCCRTの治療効果にかかわらず頸部郭清術を施行する方法である。CCRT前に手術を予定することからPNDと呼ばれる。
当科では進行癌の割合が高いことから,初診時に手術の困難な進行癌においては,初期治療としてCCRTを行い,原発を制御し,残存した頸部転移に対して救済手術としての頸部郭清術を行うという事例が増えている1,2)。ただし,CCRT後の手術は簡単なものではなく,術後のトラブルと有害事象に悩む症例も多く経験している。今回,このCCRT後の救済手術としての頸部郭清術の現状と対策,特に致死的となる術後早期の有害事象と,長期の有害事象となる嚥下障害の対策を中心に解説する。
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