特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅲ.再建部位による再建材料の選択と再建方法
7.喉摘後の音声再建
齋藤 幹
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1神戸大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
pp.113-117
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101427
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Ⅰ はじめに
近年,早期喉頭癌や早期下咽頭癌はもちろんのこと,従来であれば喉頭全摘出を余儀なくされていたような症例に対しても喉頭を温存する治療,すなわちレーザー手術や喉頭部分切除術,放射線治療,化学療法併用放射線治療などが行われるようになってきており,良好な成績が得られている。一方で,進行癌症例や再発症例に対しては喉頭全摘出術が必要となることも事実である。喉頭の三大機能は,“呼吸”,“発声”,“嚥下時の下気道の保護”であり,喉頭全摘出術を行う際には,これらの機能をいかにして温存するかが術後のQOL向上において重要である。呼吸路としての気道の確保は永久気管孔を作製することによってなされ,嚥下時の下気道の保護は気道と食道を完全に分離することによってなされる。これに対して発声には,手術の際に完全摘出された声帯の代わりとなる振動源が必要となる。幸い,喉頭全摘出術では構音器官に手術侵襲が及ばないため,振動源で造られた原音を口腔内に導くことができれば発声できる。このことを利用し,喉頭全摘出後の代用音声としてさまざまな方法が工夫されてきた。ここでは音声再建手術を中心に喉頭全摘出後の代用音声について述べる。
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