Japanese
English
特集 耳鼻咽喉科とチーム医療の実践(1)小児難聴児への対応
4.小児難聴児への対応―小学校難聴児の実態と支援
4.Audiological support system for elementary school children with hearing impairment
牛迫 泰明
1
,
東野 哲也
1
Yasuaki Ushisako
1
1宮崎大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科
pp.859-863
発行日 2008年11月20日
Published Date 2008/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101346
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
難聴児支援の目的は,難聴による言語,コミュニケーション,社会性の発達の遅れを最小限にすることであるが,個々に公平に一貫して支援が行われるのは難しい。障害や環境の違いもあるが,いまだに医療や療育・教育機関において地域および施設の間で格差があるからである。この点では地方のほうが恵まれていることもある。施設数が少ないために,難聴児が分散せず,結果的に一元的支援が行いやすいからである。宮崎県では難聴精査と支援を兼ね備えた施設は大学病院耳鼻咽喉科だけであり,しかも県下の国立,県立病院はすべて大学の関連病院なので紹介ルートが確立しており,したがって難聴児のほとんどが大学病院を受診する。このような環境下で,われわれは県下のほとんどの難聴児にかかわれる施設の役割として,すべての難聴児に対して,乳幼児期から社会人として自立するまで連続的に公平に支援できるシステム作りを目標に難聴児への対応を行ってきた。
現在までのところ,難聴児支援システムの一環として難聴児ファイリングシステムが完成し,過去17年間に当科を受診した難聴児の全聴覚検査データが電子カルテと連動して随時希望する条件で検索できるようになっている。
本稿では,本システムを用いて作成した宮崎県における小学校在籍難聴児の在籍状況と難聴の実態を示し,乳幼児期に比して遅れている就学後の難聴児への対応の現況と展望について述べる。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.