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聴性定常反応―臨床応用の現状と将来
Auditory steady-state response:Current and future status of clinical application
青柳 優
1
Masaru Aoyagi
1
1山形大学医学部情報構造統御学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
pp.763-773
発行日 2008年10月20日
Published Date 2008/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101329
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Ⅰ はじめに
聴性定常反応(auditory steady-state response:ASSR)は,繰り返し頻度の高い刺激に対する聴性誘発反応である。誘発反応では,反応波形の出現する時間より長い間隔で刺激を呈示するのが普通であるが,反応波形の主たる成分の周波数に一致する頻度で刺激音を呈示すると,各反応波形が干渉し合って一定振幅の正弦波状の反応波形となる(図1b)。臨床的には,Galambosら1)が40Hz event related potential(40Hz ERP)として報告した(ERPという用語は感覚刺激に伴う心理過程や精神的負荷により惹起される非常に長い潜時を有する誘発電位に対して用いられることから,ASSRと呼ぶのが正しい)のが嚆矢である。
近年,新生児聴覚スクリーニングが広く行われるようになり,その後の精密聴力検査において聴性脳幹反応(ABR)とともにASSRの用いられる機会が増えている。ASSRの他覚的聴力検査法としての特徴は,反応を自動判定できること,周波数ごとの聴力レベルを推定できること,特に低音域の聴力レベルを比較的正確に推定できることであるが,現在,市販されているASSRの測定機器では,反応波形そのものは表示されないので,基本的な知識なしに使用した場合,思わぬ落とし穴にはまることもあるものと危惧される。本稿では,ASSRの臨床応用の現状と使用上の注意点,さらには将来臨床応用が期待される検査技法について述べる。
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