Japanese
English
シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際―悪性腫瘍
③口腔:舌部分切除術―舌癌T2症例の場合
③A clinical pathway of the partial glossectomy
宮崎 眞和
1
Masakazu Miyazaki
1
1国立がんセンター東病院頭頸科
pp.247-254
発行日 2008年3月20日
Published Date 2008/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101224
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ はじめに
クリニカルパス(以下,パスと略す)は,特定の疾患,手術や検査ごとにスケジュールをチャートとしてまとめたものである。医療上,標準的医療を適正かつ計画的に提供すること,経営上は在院日数の短縮や医療資源の節約,管理システムの適正化を図ること,看護面では診療に対する理解度の向上やチーム医療における協調性の向上が得られること,患者サイドからは治療の経時的な予定の理解による安心感や医療者への信頼性の向上といったメリットがあるとされる医療管理ツールであり,その使用は拡大している。頭頸部腫瘍領域でも症例数の多い疾患,手術についてはその作成の有用性が示唆されている1)。
また,DPC(diagnosis procedure combination:診断群分類別包括評価)方式とは,従来の出来高払い方式とは異なり,Yale大学で開発されたDRG(diagnosis related group)をもとに日本独自の調査でまとめられた診断群分類を用いて急性期入院医療に包括評価を行うものである。当センター中央病院を含めた全国82の特定機能病院で平成15(2003)年度から導入が始まり,2006年には360施設で導入されて,今後も導入を検討する施設が増えている。
当院には,2004年の『国立がんセンターの今後のあり方検討会』での提言2)から臨床開発の役割が求められており,現時点ではDPCの導入は考えられていない。したがって,当院でのパスはDPCのためではなく,通常診療の効率化を図ることによって,癌治療における臨床開発により多くの医療資源を振り向けられるようにすることを目的としている。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.