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あとがき
竹中 洋
pp.968
発行日 2007年11月20日
Published Date 2007/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101175
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学部学生にとって病院実習はどのように位置づけられているのでしょうか? この命題はある種謎めいています。その理由として実は教員であるわれわれが既に答えを予想しているからでもあります。いわば『自明の理』の部分もあるわけです。各校によって違いがあるでしょうが,私が勤務している大学では5回生の春にオリエンテーションがあります。CBT(共用試験)とOSCEの試験は当然済んでいますので,病院についてはよくわからないにしても実習については理解しているはずです。
全体のオリエンテーション後1週間を経て病院実習が始まります。耳鼻咽喉科のクリニカルクラークシップは,月曜日の朝8時半から教授室での面談でスタートします。その際の私の最初の質問は『君たちにとって病院実習とは何ですか?』です。大抵の学生が質問の意味を理解していません。「なぜ,医学部の学生には病棟実習が必修なの?」とか少し切り口を変えてやると,「将来,医師になるために診療科を見ておくためです。」とか「本や講義で勉強したことを確認するためです。」等々答えてきます。どれも間違ってはいないのですが,そもそもが違っているのではないでしょうか?
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