鏡下咡語
ドイツ医学でよかったのか
綿貫 幸三
1
1わたぬき耳鼻咽喉科クリニック
pp.943-945
発行日 2007年11月20日
Published Date 2007/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101172
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黒船来航による目覚めから,日本は明治維新の革命的近代化に乗り出した。まず西欧による植民地化を避けるため急速な富国強兵が必要であった。そのために採用した重要な柱の1つがプロイセン(ドイツ)の徴兵制である。その軍隊の健康管理に西洋医学は必要だった。
日本の近代医学は西欧からやってきた。かつて,ポルトガルは南蛮医学をもたらし,次いで,オランダから紅毛医学が伝わった,そのお陰で前野良沢,杉田玄白らによる解体新書の翻訳出版も可能だったのである。ちなみに,解体新書の原本『ターフル アナトミア』はドイツの解剖書,ヨハン クルムス著,1734年のオランダ語訳であった。これは後のドイツ医学との関係を予感させるものであった。江戸時代末期にはシーボルトの来日がある。彼はオランダ商館医だったが,ビルツブルグ大学出身のドイツ人だったのでまたまたドイツ医学とは奇しくも縁があることになる。
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