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あとがき
竹中 洋
pp.186
発行日 2008年2月20日
Published Date 2008/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101213
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スキーをしていたのはもう30年も前のことになります。硬式テニスに没頭していた小生にとって,スキーは冬の体力作りに最適でした。また,当時の医学生にとって春休みほど自由時間が堪能できた休暇はありません。学業は2月初めの大学入試で終了,進級試験にさえ通っていれば2か月の休みです。おまけにクラブ活動は自主トレが中心で,3月中旬の合宿まで暇で暇での毎日でした。毎年,野沢温泉や八方尾根に出かけていました。たいして上手なスキーではなかったのに,なぜか楽しかった2月が目の前に浮かびます。鄙びた蕎麦屋で飲んだ熱燗のうまさは忘れられません。その少し前の2月は憂鬱でした。大学受験の苦い経験や学園紛争で肩の力が抜けきっていなかったのでしょう。昭和はやや遠くなってしまいました。
昨今の2月は特に楽しい想い出はありません。個人的には入試にからんでやたら教授会が多いこと,教授選考で教授会が長引くことが憂鬱です。そうでなくとも新職導入や大学の意思決定が名実共に理事会主導になってから,教授会は正直退屈です。最高の知識人が高踏的に物事を論じることが教授会であったはずです。あえて経営を論じる場合でも,本音と建前が明確に区別できていたはずなのに,なぜ,教授会が金銭出納器のような直截的な場になってしまったのでしょうか?小生の奉職している大学だけとはとても思えません。
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