座談会
ドイツの精神医学の傾向
笠松 章
1
,
島薗 安雄
1
,
平尾 武久
2
,
佐野 圭司
3
,
椿 忠雄
4
,
懸田 克躬
5
1東京大学医学部神経科
2群馬大学生理学教室
3東京大学医学部清水外科
4東京大学医学部冲中内科
5順天堂大学精神科
pp.540-552
発行日 1956年5月20日
Published Date 1956/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200500
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懸田 私はもともと話が下手ですから,司会もうまく出来ませんが,笠松さん,島薗さんがドイツから帰つて来られたので,そのお二人を中心として,ドイツで夫々おられた大学が中心になると思いますけれども,そのお話と,それからその後ヨーロツパを廻られた時に見られたり感じられたりしたようなことを,学問上の話その他いろいろ面白いお話もあるでしようから,それを聴かせて頂ぎたいのであります。まずそれをおきゝしてそれから佐野さんがアメリカにおられた経験から又いろいろ話をして頂いたら話が面白くなると思います。それが終つて適当に皆で質問でもしましようか,一つ気楽にお願いします。
笠松 私は昨年の3月から今年の8月迄1年半程ヨーロツパにおりました。前の1年間は主としてドイツのフライブルグ,ドイツとスイスとフランスとの境に近いところです。後の半年間はスイス,イタリー,フランス,スペイン,ベルギー,オランダ,オーストリー等を廻りました。その大部分は島薗君と一緒でしたから,共通のことになりますけれども,みたり,きいたりしたことをいろいろ思い付くまゝ話してみたいと思います。ドイツのフライブルグでありますが,私のおりましたのはAbteilung für Klinische Neurophysiologieという所であります。昔からドイツに留学する精神医学者も随分多いが,矢張言葉の関係で臨床的なことは余りやつておられないようです。私の考えでは精神科の臨床を理解するためには恐らく4年か5年いなければ,本当に理解出来ないと思います。何しろ日本語で聞いても解らん精神医学の話ですからドイツ語で聞いて解らないのは当然でしよう。
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