特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に
総論
4.ガイドラインについて 1)小児の人工内耳
三浦 誠
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1京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.37-43
発行日 2007年4月30日
Published Date 2007/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101079
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Ⅰ はじめに
わが国で1980年代後半に初めて人工内耳手術が施行されてから20年以上が経過した。当初の手術適応は言語習得後の失聴成人で精神・神経学的に問題のないことが求められていた。その後,徐々に適応範囲が小児にも広がり,1998年には日本耳鼻咽喉科学会による人工内耳適応基準が示され,小児の場合,年齢は2歳以上で,両側100dB以上の高度難聴で補聴器装用効果の少ないものとされた(表1)。その後,小児人工内耳例の増加は著しく,欧米では良好な成績が示されている2歳未満の小児例に対する手術例や従来禁忌もしくは慎重な対応が求められた内耳奇形例や精神発達遅滞などの重複合併例に対する手術も行われることが多くなってきた。症例数の増加に伴って聴覚障害児に対する人工内耳が一定の効果を示してきていることは広く認知されるようになっている。これらの事象を踏まえて2006年『小児人工内耳適応基準』の見直しが行われた(表2)。小児人工内耳の適応に関しては,手術手技や術後の言葉の聞き取りの問題点を含めて,まだまだ解決しなければならない点が多く残り,ガイドラインとして確立されたとはいえないと考えられるが,本稿では2006年に見直された小児人工内耳適応基準を中心に述べる。
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