特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科のリハビリテーション―症例を中心に
各論
1.聴力とめまい 2)人工内耳―小児
三浦 誠
1
,
石丸 満
1
1京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.67-76
発行日 2007年4月30日
Published Date 2007/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101083
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Ⅰ はじめに
わが国での人工内耳手術の歴史は20年以上が経過した。当初は中途失聴成人に対する手術が主体であったが,徐々に適応範囲が小児にも広がり,1998年には日本耳鼻咽喉科学会による人工内耳適応基準が示された。さらに2006年には『小児人工内耳適応基準』の見直しが行われ,適応が拡大される傾向にある。当科で1987~2006年までに208例の人工内耳手術が施行されたが,うち18歳未満の小児例は86例である。最少年齢は1歳2か月で1歳代が8例,2歳代が17例で,6歳未満例が66例と小児例全体の77%に相当している。最近では人工内耳手術に占める小児例の割合が増加し,また低年齢化が進んでいる。当初は適応を比較的厳しく選んで行われていたが,ここ数年は高度内耳奇形例や精神発達遅滞などの重複障害例に対しても人工内耳手術を行う場合が増えてきている。それに伴って,術後のリハビリテーションの重要性はますます重要になっていると考えられる。本稿では当科で行われている小児人工内耳術後の音入れ,マッピングを含めたリハビリテーションの現状についての基本方針と実際の症例を中心に述べる。
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