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下咽頭癌の治療
Treatment of carcinoma of the hypopharynx
森 一功
1
Kazunori Mori
1
1近畿大学医学部耳鼻咽喉科
pp.377-387
発行日 2007年5月20日
Published Date 2007/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101052
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Ⅰ はじめに
下咽頭癌の治療成績はいまだもって良好とはいえない。筆者の記憶が正しければ,2004年の第56回気管食道科学会総会でのシンポジウム『下咽頭癌の治療戦略』において,癌研究会の川端一嘉先生は次の旨の発表をされた。『過去20年以上にわたって,遊離空腸やら化学療法やら,いろいろできる限りのことをやってきたが,その治療成績にはほとんど改善がなかった。われわれは一体何をしてきたのだろうと思う』。ちなみに,先生のおられる癌研究会での1978~1999年までの死因特異的5年生存率は44.7%であったという1)。
このお言葉は,まさに同感である。そして,われわれ頭頸部外科医に重くのしかかる。
この,頭頸部領域での最も手強い『難病』に対し,筆者がさまざまな面からどのように取り組んできたか,そして今どのようにしているかをここでは紹介し,諸兄のご批判を賜りたいと考えている。
なお,筆者は久留米大学医学部耳鼻咽喉科で恩師・平野 実・現名誉教授のご指導を賜り,久留米大学の多くのスタッフと研究・臨床に励んだ。その経験・データに基づいて,現在,近畿大学医学部耳鼻咽喉科において臨床に従事している。本論文では両大学でのデータに基づいて話を進めることにする。
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