特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅸ.腫瘍性疾患診療NAVI
6.下咽頭癌
下出 祐造
1
,
辻 裕之
1
1金沢医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
pp.273-277
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102172
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Ⅰ 概説
下咽頭癌は頭頸部癌の約10%を占め,近年増加傾向を示している。解剖学的に梨状陥凹,後壁,輪状後部の3つの亜部位に分類され,梨状陥凹部発症が約半数と最も多く,病理組織学的にはほとんどが扁平上皮癌である。自覚症状が出にくいこと,頸部リンパ節転移を高率に認めることから,初診時の段階ですでにStage Ⅲ以上の進行状態である場合が80%と多い反面,近年上部消化管内視鏡検査機器の進歩により,偶然にごく早期の病変で発見される症例もみられる。また食道,胃など上部消化管領域を中心に約20%で同時性または異時性に重複癌を認める。
好発年齢は60歳代で男女比は6~7:1で男性に多い。発癌の誘発因子は主に飲酒,喫煙歴である。なお輪状後部型に関しては鉄欠乏性貧血とプランマービンソン症候群を呈する女性に多いといわれる。
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