今月の主題 眼と耳
技術解説
平衡機能検査
竹森 節子
1
Setsuko TAKEMORI
1
1虎の門病院神経耳科
pp.1623-1630
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913202
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身体の平衡機能は,内耳{三つの半規管(外側半規管,前半規管,後半規管),二つの耳石器(卵形嚢,球形嚢*)},前庭神経,小脳,脳幹(前庭神経核など),大脳,脊髄神経などにより制御されている.この部位の障害によりめまい,平衡障害をきたす.内耳〜脊髄間には強力な前庭脊髄路があり,内耳障害の場合,著しい平衡障害をきたす.このため平衡機能検査の一つは,身体の平衡状態を検査する方法である.
*球形嚢sacculusは,どちらかと言えば聴覚のほうに関与すると言われている.
内耳一眼球運動の間には,非常に密な関係があり,前庭眼反射とも言われる.このためもう一つの平衡機能検査は,この眼球運動を用いた諸検査である.眼球運動は,内耳のみならず,小脳,脳幹,さらに大脳により制御されているので,これらの中枢神経障害の部位診断にもなる.平衡機能の検査は,脳神経検査の一つでもある.
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