シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際
⑥伝染性単核球症のクリニカルパス
桜井 一生
1
1藤田保健衛生大学医学部耳鼻咽喉科
pp.701-707
発行日 2006年8月20日
Published Date 2006/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100741
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Ⅰ はじめに
クリニカルパス(以下,パスと略す)は,「医療の質の向上」を目的とした「医療の介入内容を計画化,書式化し,医療の評価と改善を行うためのシステム」であり,すべての疾患について適応することが可能である1)といわれている。現在,多くの医療機関でパスが導入されてきているが,すべての疾患に対して導入することは現実的には難しく,かつ非効率的であるとの意見2)や疾患によっては診療のすべてをパス化するには大きなバリアンスが生じやすく困難でもあるとの意見もあり3),一般的には経過が比較的安定している疾患を対象とすることが多いのが現状である。
耳鼻咽喉科領域では,耳科手術,鼻科手術,喉頭微細手術,口蓋扁桃摘出術などがよい適応といわれている4)。急性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍などの感染症では,重症度や外科的処置の要否,合併症の有無などによりその経過にばらつきが生じやすくパスの導入が遅れているのが現状と思われる。
伝染性単核球症は,EBウイルス(Epstein-Barr virus)の初感染による全身感染症であり,発熱,咽頭痛,頸部リンパ節腫脹を3主徴とする疾患である。
しかし,そのほかに肝機能障害や皮膚発疹などの症状がみられることもあり,その経過は必ずしも一定しないため,パスの作成,運用が難しい疾患の1つと思われる。当科では,伝染性単核球症に対するパスを作成し運用をはじめたのでここに紹介する。
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