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内耳プロテオーム解析とCOCH遺伝子アイソフォーム―基礎研究の臨床応用をめざして―
A Translational Research―Inner Ear Proteomics,Cochlin Isoforms and Its Application to a Novel Diagnositic Method―
池園 哲郎
1
Tetsuo Ikezono
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.838-849
発行日 2004年11月20日
Published Date 2004/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100678
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I.プロテオーム解析とは
ヒトゲノムの配列の解読がほぼ終了し,今後の研究の興味はゲノムから得られる情報を使い,それの意味を知ることに変わりつつある。ゲノム解析の結果,ヒト遺伝子の数は以前予想されていた10万個ではなく,それよりかなり少ない3.5万個程度であることが明らかになった。この遺伝子の数は,ヒトという生物の機能の多様性を説明するには少な過ぎると考えられている。このギャップは遺伝子が転写,翻訳される際の多様性にあることが推測されており,これを解明する手段として注目されているのがプロテオーム解析である。この概念は1996年にオーストラリアのWilkinsら1)によって提唱された。
プロテオーム(proteome)は,細胞や組織において発現している蛋白質の全体像を指す。DNAに書き込まれた情報はRNAを介して蛋白質へ翻訳される。近年の研究によると,RNAの発現プロファイルと蛋白質の発現プロファイルは必ずしも一致するわけではなく,その相関は50%以下であるともいわれている。そこで,蛋白質の網羅的解析,すなわちプロテオーム解析を行うことが重要とされている(表1)。
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