特集 上気道アレルギーを診る
3.鼻アレルギーと類縁疾患
鑑別と治療
櫻井 大樹
1
,
岡本 美孝
1
1千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教室
pp.30-37
発行日 2004年4月30日
Published Date 2004/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100573
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I.はじめに
アレルギー性鼻炎は鼻粘膜のⅠ型アレルギー性疾患で,発作性反復性のくしゃみ,水様性鼻漏,鼻閉を3主徴とする疾患と定義される。鼻アレルギー診療ガイドラインでは,アレルギー性鼻炎は過敏性非感染性鼻炎に分類され(表1)1),この過敏性非感染性鼻炎の分類の中にはアレルギー性鼻炎以外に,いくつかの非アレルギー性鼻炎が分類されている。これには血管運動性鼻炎(vasomotor rhinitis)および好酸球増多性鼻炎(eosinophilic rhinitis,non-allergic eosinophilia syndrome)が含まれる。これらは,アレルギー性鼻炎の3主徴であるくしゃみ,水様性鼻漏,鼻閉のうちいくつかの症状を複合してもっているため複合型に分類され,臨床的にはアレルギー性鼻炎との鑑別が必要となる。
アレルギー性鼻炎の診断には問診,鼻鏡検査,鼻汁好酸球検査を行い,過敏症であるか過敏症でないか,またアレルギー性か非アレルギー性かを判断する必要がある。さらに,原因抗原を特定するために皮膚テスト,血清特異的IgE抗体定量,誘発テストを行い治療方針を決定していく必要がある(図1)1)。特異抗原を同定するための検査が陰性であり,かつ鼻汁好酸球検査で有意な好酸球の増加が認められれば,好酸球増多性鼻炎と診断される。鼻汁好酸球検査が陰性であれば,血管運動性鼻炎と診断されることになる(表2)1)。しかし,抗原が同定できない場合であってもアレルギー性鼻炎を安易に除外するのではなく,臨床症状などから総合的に判断し診断していくことが必要である。
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