特集 失神診療をきわめる
失神の鑑別診断と治療
江﨑 宏典
1
1川崎医科大学附属病院総合診療部
キーワード:
心血管系失神
,
神経反射性失神
,
起立性心疾患
Keyword:
心血管系失神
,
神経反射性失神
,
起立性心疾患
pp.289-291
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100311
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失神の鑑別診断
■失神の原因
失神は比較的よくみられる病態であり,救急外来の受診理由の3%,入院理由の6%を占めているとされる1).したがって,一般臨床医もその対応に精通しておく必要がある.失神とは単なる症状名であるので,失神をきたした原因を追究することが重要である.失神の原因疾患は多岐にわたるが,実際の臨床において重要なことは,よくみられる(頻度が高い),予後が不良,および緊急の処置が必要な疾患を鑑別することである.5つの臨床研究をまとめた報告2)によれば,合計1,000症例の失神の原因として神経反射性失神が24%,心血管系失神18%,起立性低血圧8%であったという(表1).頻度が高い点からみて,神経反射性失神を正しく診断することは大切である.ただし原因不明例が34%と最多であり,原因疾患の鑑別はなかなか困難であることがわかる.予後の観点からみると,心疾患による失神の予後は不良であり(心血管系失神の年間死亡率30%,原因不明例では6%という報告がある),また起立性低血圧は消化管出血といった重篤で緊急の処置を必要とする病変が原因であることも多いため,失神の鑑別にあたっては注意を要する.以上述べたように,失神患者を診療する際には,心血管系,神経反射性および起立性低血圧の鑑別診断を行うことが重要となる.
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