特集 “のど・はな・みみ”の内科学
口腔
舌痛症と舌炎の鑑別と治療
井野 千代徳
1
,
田辺 正博
1
1小松病院耳鼻咽喉科
キーワード:
舌痛症
,
表在性舌炎
,
アフタ性口内炎
,
ストレス
Keyword:
舌痛症
,
表在性舌炎
,
アフタ性口内炎
,
ストレス
pp.982-989
発行日 2021年6月10日
Published Date 2021/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227668
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Point
◎舌痛症はストレス性疾患であり,症状の特徴は食事中に症状を自覚しないことである.舌周囲に症状を訴える場合もある.患者は異常でない粘膜所見を「異常」と確信をもって受診する場合が少なくない.
◎舌乳頭の萎縮を認める舌炎は鉄欠乏,ビタミンB12欠乏,葉酸欠乏で起こる.舌の痛みは食事中に憎悪することが多く,痛みは舌周囲には認めない.鉄欠乏由来の舌炎では口角炎を伴うことがある.
◎アフタ性口内炎の多くは年に3回以上発症する反復性アフタ性口内炎(RAS)である.膠原病ではBehçet病と全身性エリテマトーデス(SLE)に注意する.前者は口内病変は100%で初発後10年以上を経て診断されることも多い.後者は口内病変は50%で痛みを伴わないことがある.
◎口内炎はその形態で3つに分けることができる.通常の口内炎は中心が白く,周囲が赤い.中心が赤く,周囲が白い口内炎は難治性である.
◎舌痛症,表在性舌炎,アフタ性口内炎はいずれもストレスを背景にもつ例があり,再発・再燃を繰り返すことがある.治療にあたっては患者との信頼関係の構築が必要となる.
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