鏡下咡語
臨床医の夢
山田 弘之
1
1山田赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.206-207
発行日 2004年3月20日
Published Date 2004/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100551
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- 文献概要
以前にもこの欄に稚拙な文章を載せて頂いて思ったことですが,諸先生方の文章にみられるような含蓄のある内容は,小生のような若輩者には到底書けないことは重々承知の上で,この原稿を書き始めています。実は3年前に学会の書籍売り場で原稿の依頼を受けながら,いままで放ってあったのを先日医学書院の方から思い出させて頂きました(ルーズで済みませんでした)。日頃,日常の臨床に追われて余裕のない生活をしている小生に,経験豊かな皆さんに聞いていただけるような面白い話はなかなか見つかりません。そこで,昨年(2002年)たまたま旅行したネパールで経験したこと,感じたことについて書いてみます。
「ネパールに行きませんか?」
日赤の三重県支部の方から突然のお誘いがあり,丁度学会シーズンでもないからと,よく考えもせずに安易な気持ちでネパール行きを承諾してしまいました。事前に聞いていた情報は,「2月であってもネパールではTシャツで構わない」,「衣類は現地で非常に安く手に入れられるから荷物は少なめに」,「生水は飲まない」ぐらいで,旅行の目的も,なぜ小生が誘われたかについても十分に理解していませんでした。以前に短期間ながらヒユーストンに留学して海外に出かけることに抵抗がなくなっていた時でもあり,十分な下調べもせず,また,折角友人が貸してくれた「地球の歩き方」をバッグに入れ忘れるなど,緊張感の欠けた出発でした。おまけに,出発前日の緊急手術で夜遅くまで準備ができず,下着さえもバッグに詰め忘れたこともあって,1週間の旅程にもかかわらずショルダーバッグ1つで出かけてしまいました。
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