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下咽頭収縮筋の形態と機能―嚥下機能との関連性
Morphology and physiology of the inferior pharyngeal constrictor muscle:Relationship to swallowing function
兵頭 政光
1
Masamitsu Hyodo
1
1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科
pp.875-884
発行日 2005年11月20日
Published Date 2005/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100212
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Ⅰ はじめに
嚥下は,多くの筋が巧妙なタイミングで収縮と弛緩を行うことで遂行される。この嚥下機構はきわめて複雑で,特に咽頭期においては,知覚神経系,脳幹の嚥下中枢,運動神経系,および嚥下関与筋がきわめて協調的に機能することにより成り立っている。それぞれの機能的役割については,これまでにも多くの研究者により基礎的・臨床的研究が精力的に行われ,複雑な嚥下機構の詳細が解明されてきた。われわれも嚥下関与筋のなかでもっとも重要な役割を担う下咽頭収縮筋を主な対象として,生理学的・形態学的研究を展開してきた。下咽頭収縮筋は頭側の甲状咽頭筋と尾側の輪状咽頭筋の総称であるが,前者が嚥下の咽頭期に食塊の駆動筋として機能するのに対し,後者は食道入口部括約筋として機能するという対照的な役割を担う。このようなことから下咽頭収縮筋の機能と形態を明らかにすることは,生理的な嚥下機構および嚥下障害の病態の解明につながる。本稿では,下咽頭収縮筋に関連してわれわれが行ってきた一連の研究成果を述べ,嚥下機能との関連性について概説する。
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