特集 味覚・嗅覚障害
1.味覚器の形態と機能
阪上 雅史
1
1兵庫医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.173-179
発行日 2005年3月20日
Published Date 2005/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100085
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Ⅰ.ヒト舌乳頭の形態と機能
味覚機能検査において,舌乳頭観察は以前より行われており,固定式の双眼顕微鏡などを用いての観察が主流であった1,2)。いろいろな工夫を凝らした観察方法が開発されたが,特殊なものが多く普及するまでに至らなかった。近年機器の発展により,軽量で画像もよりクリアになり,記録方法もデジタル化が進んだ。当科では1999年の味覚外来開設以来,ビデオマクロスコープを用いて舌乳頭の観察に取り組んできたが3~5),昨年度より新たにUSBマクロスコープを用いて情報の入出力をデジタル化,解析を行い味覚機能との関連を検討した。また,接触型硬性内視鏡(コンタクトエンドスコープ)を用いて舌乳頭をより詳しく観察し,味覚機能との相関を検討した。
1.舌乳頭形態の観察
USBマクロスコープ(USBマクロスコープ,スカラ,東京)(図1)を用いて,両側鼓索神経支配領域および舌尖中央部の茸状乳頭を観察した。倍率は50倍(14インチモニター表示),USB接続にて直接画像をパソコンに取り込んだ。茸状乳頭数(/20mm2)を計測し,血清亜鉛値とともに味覚機能(電気味覚検査,濾紙ディスク法)との相関を検討した。対象は,2003年度に当科味覚外来を受診した症例16例(男性10例,女性6例,平均年齢57.0±18.1歳)で,これを症例群とした。一方,有志の味覚正常者11例(男性10例,女性1例,平均年齢38.3±9.3歳)を正常群とした。
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