書評
米国SWOGに学ぶがん臨床試験の実践―臨床医と統計家の協調をめざして
垣添 忠生
1
1国立がんセンター総長
pp.159
発行日 2005年2月20日
Published Date 2005/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100083
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このたび医学書院より「米国SWOGに学ぶ がん臨床試験の実践」が刊行された。本書は,Stephanie Green(SG),Jacqueline Benedetti(JB),John Crowley(JC)三統計家による名著「Clinical Trials in Oncology, 2nd ed.」の訳書である。待望久しかった訳書が,それも2nd ed.が出版されてすぐに刊行されたことを喜びたい。
わが国の医学研究のレベルは高く,疾病の本態解明や新しい現象の記述,その解明などで世界の医学に多くの貢献をしてきた。ところが,薬物の効果や医療機器の評価など,患者を対象にした医学研究,いわゆる臨床試験の面では,従来大きく立ち遅れていた。その理由としては,大学に腫瘍学の講座がない,生物統計学者の絶対数が足りない,臨床試験を支える基盤が欠如していた……などいろいろあるだろう。しかし,世界的にもevidenceに基づいた医学,医療の展開の重要性が日々強まっているとき,わが国のこれまでの事情がこのままであってよいはずはない。
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