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SWOG(The Southwest Oncology Group)は,1956年に創設され,400以上の医療機関,のべ4,000人以上の医師が臨床試験に参加し,2,000を超える学術発表を行ってきた米国最大のがん臨床試験グループである.本書は,SWOGの統計家が臨床医に向けて発刊した臨床試験方法論の解説書の和訳書第2版であり,訳者は,国立がん研究センター多施設臨床試験支援センター長,福田治彦氏を代表とするJCOG(Japan Clinical Oncology Group)データセンターのメンバーで構成されている.JCOGは1978年に発足し,現在16研究グループ,約200の医療機関が参加するわが国最大のがん臨床試験グループである.したがって本書は,わが国最大のがん臨床試験グループJCOGが最も信頼を寄せ,同様の「哲学」を共有すると考えている米国SWOGの臨床試験方法論を渾身の力を込めて紹介した教科書であるといえよう.
原書では,「conservativeな」行動哲学が一貫して貫かれている.この厳格なポリシーは訳者が序文で紹介しているように,「真にはよくないものをよいと誤って判断する偽陽性の誤りを小さくすることを優先する立場」であり,分子標的薬をはじめとする高額な薬剤が相次いで開発されるがん臨床試験の現場では極めて重要な哲学といえる.本書は単なる統計学的方法論の解説書ではなく,臨床試験を立案遂行する上でのまさに行動哲学を示した骨太の教科書となっている.この第2版(原書第3版)では,分子標的薬の試験デザインの特殊性などに関する新たな記述が加わり,臨床試験方法論は,時代の趨勢,要請に応えて刻々と進化するものであることを痛感させられる.
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