Japanese
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連載 眼科図譜・296
向精神薬による角膜浮腫
Corneal edema after prolonged use of psychotropic agents
大鹿 哲郎
1
,
糸田川 久美
2
,
澤 充
3
1東京厚生年金病院眼科
2東京厚生年金病院神経科
3東京大学角膜移植部
pp.198-199
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908302
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- Abstract 文献概要
緒言 向精神薬の眼副作用としては,phenothiazine系およびbutyrophenone系など,いわゆるメジャートランキライザーによるものが知られており,これまでに角膜後面や水晶体前面の色素沈着,網膜色素変性が報告されている1〜5)。しかしいずれも軽度の障害で,視力低下をきたす程のものではないとされている6)。今回筆者らは,可逆性の,強い角膜浮腫を両眼に呈し,その発症に向精神薬の長期大量投与が関与していたと考えられる1例を経験した。向精神薬の副作用としての角膜浮腫,あるいは強い視力障害は今までに記載されておらず,また向精神薬に限らず何らかの薬剤の全身投与で角膜浮腫をきたした例も,筆者らの知る限り文献上ない7)。向精神薬が長期にわたって使用される機会は今後ますます増えると考えられることから,筆者らの経験例をここに報告したい。
症例 23歳,女性。初診:1989年8月21日。
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