緑内障—私の夢
緑内障診療20年後の現実?
山猿 K2
pp.150
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907889
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遺伝子診断で緑内障の発症確率が高いことを指摘されていた43歳のA氏は,インターネットの無料検診で“緑内障の疑い”と診断された。精密検査の結果は,CPON-type I (以前の正常眼圧緑内障)で,8年で中心視力が低下し,12年後には光覚弁になる確率が80%と判定された。遺伝子治療も選択肢として挙げられたが,発癌の可能性が報告されているため,一般的薬物治療を選択した。SNPs検査により決定された緑内障合剤を含有した治療用インサートが結膜下に挿入された。インサートには一度の充填で約2週間薬物の持続的放出が得られる薬剤親和型樹脂が装填され,合剤の迫加充填は自宅で可能である。自宅の診療端末により,視神経乳頭,神経線維,他覚的視野検査が定期的に測定され,インサートに装填された小型膜電池を電源とする眼圧センサーにより24時間測定されている眼圧値も含めすべての治療データは,医師組合,製薬会社,保険会社の3者が共同で経営するneuron res—cue centerにonlineで送られ,一括管理されている。また,A氏は,すでに一線を引退した元緑内障専門医Bから,自宅で遠隔診療を時々受けている。
68歳女性のCさんは,ATON-type Ⅱ(以前の原発閉塞隅角緑内障)により指数弁となったが,再生治療の結果,視力を回復した。この経過に関しては,いつか機会があったら紹介したい。
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