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全身疾患と続発先天緑内障
先天緑内障は,原発先天緑内障と,眼以外の先天異常に伴う緑内障(続発先天緑内障)とに大別される。後者の代表は,無虹彩症,Axenfeld-Rieger症候群,Peters奇形など前眼部発生異常を伴う疾患や,Sturge—Weber症候群,神経線維腫症,太田母斑を含む母斑症などである。そのほかにもLowe症候群(眼脳腎症候群)やホモシスチン尿症,シスチノーシスなどの代謝異常,Edwards syndromeやPatau syndromeなどのトリソミー,Marfan症候群,Weill-Marchesani症候群(水晶体偏位による閉塞隅角緑内障),風疹症候群,未熟児網膜症,また非常に稀ではあるがRubinstein—Taybi症候群,Pierre Robin症候群,眼歯指症候群,deGrouchy’s syndrome, Hallermann-Streiff症候群,Prader-Willi症候群,Wolf-Hirschorn syndromeなども緑内障を合併しうる疾患として報告されている。
神経堤の異常で起こるAxenfeld-Rieger症候群は,緑内障を発症するのは約30〜50%である。独特の顔貌や歯牙の異常,難聴,心疾患などを合併することがあるが本症のみに特異的なものはなく,眼症状がなければ眼科を受診せず診断がついていない可能性もあると思われる。Peters奇形においては,緑内障の有無にかかわらず角膜が混濁するため,眼異常が気づかれやすい。本疾患も低身長,手指の異常,精神発達遅延,耳介の異常,歯牙の異常,水頭症などの全身合併症が報告されている。神経外胚葉由来の異常で起こる無虹彩症は,その85%は全身疾患を合併しないが,13%はWilms腫瘍,性器・尿路奇形,精神発達遅延を伴いWAGR症候群と呼ばれる。Sturge-Weber症候群は片側または両側の顔面三叉神経第1,2枝領域および髄膜軟膜に血管腫を有する疾患である。好発部位である小脳や後頭葉の軟膜の血管腫は徐々に石灰化しながら収縮するため,知的障害(60%)やてんかん発作(85%)を起こしやすい。骨格異常や他臓器の血管腫の合併なども報告されている。
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