特集 小児眼科診療マニュアル—私はこうしている
診療の実際—ポイントとコツ
緑内障
上岡 康雄
1
1埼玉県立小児医療センター 眼科
pp.1605-1607
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900389
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小児の緑内障の特徴
小児の緑内障,特に原発先天緑内障はまれな疾患であるが治療が遅れると視機能の予後は不良で,小児の視覚障害の原因疾患の中でも重要な位置を占めている。しかし早期に発見され適切な治療がなされれば手術の成功率は高く,その予後は必ずしも悪くはない点で初診医の正しい診断が求められる。ところが,緑内障の初期症状は流涙・羞明・眼脂などで内反症,先天性鼻涙管閉塞,結膜炎などの日常ありふれた疾患と間違われやすく,さらにこうした患者の多くは検査に協力性のない乳幼児であるため,進行例はともかく初期例を診断することは必ずしも容易ではない。一方,本症の予後を左右するのは眼圧のコントロールの良否のみでなく,術後の視機能の適切な管理が重要である。さらに眼圧のコントロールの良否の判定は成人のような外来での正確な眼圧検査や視野検査が出来ない反面,いくつかの他覚的所見により可能である。このように小児の緑内障は成人とは異なった特殊性を持った疾患であることを念頭において,診療に当たる必要がある。
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