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高年発症型格子状角膜変性症
平野 耕治
1
,
三宅 養三
1
1名古屋大学眼科
pp.17
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907584
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TGFBI遺伝子Leu527Argの変異による高年発症型の格子状角膜変性症の症例である。患者は69歳,男性。65歳頃より右眼の視力低下に気付いているが,左眼にはとくに訴えはなく,両眼ともに角膜びらんの既往歴はない。写真の時点で視力は右(0.02),左(1.0)。格子状の線条は通常のⅠ型格子状角膜変性症に比べて太く,角膜深層に及び,角膜中央部深層には小粒状の灰白色沈着物を伴っている。所見の左右差が著明である。臨床所見では1987年,Hidaらの報告(Am JOphthalmol 104:241)によるⅢ型格子状角膜変性症に酷似するが,TGFBI遺伝子Leu527Argの変異がヘテロ接合で認められているため,常染色体優性遺伝による角膜変性症と考えられ,ⅢA型に分類している。この患者の右眼には深層角膜移植術を行っているが,角膜中央部深層の小粒状沈着物はデスメ膜付近にも及んでおり,その除去中にデスメ膜に穿孔をきたしている。ただし,術後経過はとくに問題なく,視力は(0.3)が得られ,さらに白内障手術後(0.8)に改善している。
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