今月の表紙
多発性網膜前出血の1例
野田 裕
1
,
三方 修
1
,
谷野 洸
1
,
三宅 養三
2
1NTT東日本関東病院眼科
2名古屋大学眼科
pp.1373
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907431
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症例は44歳の女性で,2時間前に右眼が真っ暗に見えたため当科を初診。右視力0.1(矯正不能),左矯正視力1.5,右眼圧21mmHg,左眼圧14mmHg,左眼に異常は認められなかった。右眼底の後極から中間部にかけて,3〜5乳頭径の長円形で硝子体側に隆起した網膜前出血が4か所に見られた。1つは黄斑部を覆い,出血部の赤血球境界が水平面を形成し,ニボー所見を呈していた。2日後に硝子体剥離が広がり,出血は拡散し各網膜前出血の面積は縮小した。右矯正視力は0.06に低下した。約2か月後に網膜前出血は吸収され硝子体出血も軽快,右矯正視力は1.2に改善した。血算,血液凝固系,生化学検査に異常はなく,循環器疾患,糖尿病も認められていない。
写真はデジタルカメラを接続した眼底カメラ(興和PRO III)にて撮影を行い,画像ファイリング装置(興和VK2)に保存した。出血の範囲が広いので画像編集アプリケーションAdobe Photoshop®を用いて6枚の写真を1枚に合成した。
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