特集 眼科基本診療Update—私はこうしている
1.診断に必要な基本技術
一般的検査
眼鏡処方—コツと注意点
酒井 正典
1
1さかい眼科医院
pp.17-18
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907012
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
眼鏡の処方に際して,眼科医は十分な役割を果たしているであろうか。眼鏡処方箋を発行することは医療行為で,医師のみに許されるものであるが,明治時代から今日にいたるまで,眼鏡店による検眼,眼鏡処方という法律違反が黙認されている。この原因の1つに“屈折矯正は面倒だ”とする眼科医の意識にも責任があったと思われる。「メガネを作るくらいでわざわざ眼科まで来るな」と患者に言ってはばからない眼科医が存在していたと聞かされたことがある。眼鏡士問題がとりざたされているが,法的に“眼鏡処方は眼科医が行うものである”ということを堅持するためにも,限鏡処方にもっと力を入れるときにきているとの反省の声も聞かれる。
さて,眼鏡の処方にあたっては,眼鏡処方箋の書き方に加え,レンズと眼鏡枠の材質や種類,眼鏡調整の手順についても知っておく必要がある。さらに,眼鏡光学の基礎知識,調節の屈折値への介入などの知識を土台として眼鏡処方にあたることが必要となる。眼鏡は,コンタクトレンズと違い,眼鏡レンズが眼から離れた位置に保持され,レンズの眼に対する相対的位置が眼の動きにより変化する。このことが,本来期待された矯正効果以外の副次的な効果を持ち込むことになる。眼鏡処方における注意点の多くは,このことを理解することにほかならない。また,眼鏡処方は,年齢,遠用か近用か,遠近両用かなどの個別に考慮しなくてはならない事項が多いが,本稿では一般的な注意点に的を絞って述べる。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.