特集 診断と治療の進歩—第53回日本臨床眼科学会シンポジウム
総合討論・Ⅱ:紙上発言
阿部 春樹
1
,
安藤 文隆
2
,
荻野 誠周
,
栗原 秀行
3
,
桑山 泰明
4
,
谷原 秀信
5
,
山本 哲也
6
1新潟大学眼科
2国立名古屋病院眼科
3栗原眼科病院
4大阪厚生年金病院眼科
5天理よろづ相談所病院眼科
6岐阜大学眼科
pp.164-169
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906693
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血管新生緑内障は,前房隅角における新生血管と,線維性血管膜の増殖により隅角が閉塞し,高眼圧を生じるものであり,主として糖尿病網膜症や,網膜中心静脈閉塞症など,網膜に広範な血管閉塞領域が発生する疾患に認められる。一般的に,血管新生緑内障の治療成績は,他の緑内障に比して不良であるため,虹彩や隅角に新生血管を認めたならば,早急な治療が必要である。
虚血網膜組織より産生されたVEGFをはじめとする血管新生因子は,硝子体腔を経て,網膜のみならず虹彩や隅角の血管新生と,線維性血管膜の発生を誘導する。現在のところ,これらの血管新生の抑制には基本的に光凝固しかないのが現状であり,虚血網膜を間引き,残りの網膜に脈絡膜からの酸素の拡散を促進させて,相対的に網膜の虚血を改善することが重要である。線維性血管膜による虹彩前癒着に伴う隅角閉塞を防ぐには,隅角のルベオーシスが消失するまで徹底的に光凝固を行うことである。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.