特集 インフォームドコンセント時代の眼科外来診療マニュアル—私はこうしている
集学的治療に必要な他科の知識
甲状腺疾患—いま,内科では
中川 淳
1
,
山田 昌代
1
1金沢医科大学内分泌内科
pp.229-231
発行日 1999年9月30日
Published Date 1999/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906583
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眼科外来において最もよく遭遇する甲状腺疾患といえば甲状腺機能亢進症,いわゆるバセドウ病(Graves病)であろう。甲状腺機能亢進自体は交感神経緊張亢進様病態を招来し,瞼板筋攣縮による瞼裂開大,眼瞼運動遅延,瞬目減少などを引き起こす。しかし眼球突出を中心としたバセドウ病の眼症状の多くは,むしろ甲状腺ホルモンレベルとは独立した病態であり,眼球後脂肪組織あるいは外眼筋の炎症によるものである。
この眼窩内軟部組織の炎症は,病因論的には甲状腺との間に共通抗原が想定される自己免疫性炎症と考えられており,ときに慢性甲状腺炎患者や甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体抗体(Memo参照)が陽性でありながら甲状腺機能の正常な症例にも発症する(いわゆるeuthyroid Graves病)。さまざまな名称が提唱されているが,ここではthyroid-associated ophthalmopathy (TAO)を使用し,TAOについて自験成績を含め概説する1,2)。
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