特集 明日から始める「性差医療」—性差とライフステージを考える
領域あるいは疾患ごとの性差を踏まえた診療実践
甲状腺疾患と性差—甲状腺疾患は女性に多い
荒田 尚子
1
1国立成育医療研究センター女性総合診療センター女性内科
キーワード:
甲状腺疾患
,
性差
,
橋本病
,
Basedow病
,
甲状腺癌
Keyword:
甲状腺疾患
,
性差
,
橋本病
,
Basedow病
,
甲状腺癌
pp.260-264
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620020260
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Point
◎甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の中央値は年齢とともに上昇し,20代と30代が最も低く,80代が最も高い.そして女性は男性よりもTSH値が高い.
◎甲状腺中毒症および甲状腺機能低下症の発症率の男女比は約1:10と女性に多い.
◎Basedow病の男女比は1:4.6であり,特に20〜30代の若年女性に多い.橋本病の男女比は1:16.6であり,30〜50代が60%以上を占める.
◎甲状腺機能亢進症に伴う周期性四肢麻痺はアジア人の男性に多い.
◎甲状腺癌の罹患率は女性のほうが男性の3〜4倍高い.一方で,一般的に男性のほうがより進行性であることが多い.
◎甲状腺疾患は女性の罹患率が高く,女性ホルモンの影響や,妊娠や閉経といったライフステージの変化による影響を強く考慮する必要がある.
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